業務委託契約と雇用契約で疑問が生じたときに、問題になるのが、使用従属性です。実態によっては、契約形態と矛盾が生じる場合があります。
具体的には、下記の判断基準をご確認ください。
- 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
「使用者」の具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由 を有していれば、他人に従属して労務を提供するとは言えず、対等な当事者間の関係となり、指揮監督関係を否定する重要な要素となります。 - 業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
業務の内容及び遂行方法について「使用者」の具体的な指揮命令を受けていることは、指揮監督関係の基本的かつ重要な要素となります。しかし、この点も指揮命令の程度が問題となり、通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督を受けているとは言えません。 - 通常予定されている業務以外の業務の有無
「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、「使用者」の一般的な指揮監督を受けているとの判断を補強する重要な要素となります。 - 勤務場所及び勤務時間の拘束性の有無
勤務場所及び勤務時間が指定され、管理されていることは、一般的には、指揮監督関係の基本的な要素となります。しかし、業務の性質上(例えば、演奏)、安全を確保する必要上(例えば、建設)等から必然的に勤務場所及び勤務時間が指定される場合があり、当該指定が業務の性質等によるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要があります。 - 代替性の有無
本人に代わって他の人が労務を提供することが認められている、または本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められている等、労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素のひとつとなります。 - 報酬の支払い方法
報酬が時間給を基礎として計算される、欠勤した場合には応分の報酬が控除される、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される等、報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、「使用従属性」を補強することになります。 - 機械、器具、原材料等の負担関係
本人が所有する機械、器具を業務に使用しており、その機械、器具が非常に高価な場合には「事業者」としての性格が強く、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられます。 - 報酬の額
報酬の額が、当該企業において同様の業務に従事している正規従業員と比べて著しく高額である場合には、一般的には当該報酬は労務提供に対する賃金ではなく、「事業者」に対する代金の支払と認められ、その結果、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられます。 - その他
正規従業員の採用の場合とほとんど同様であること、報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていること、労働保険の適用対象としていること、服務規律を適用していること、退職金制度、福利厚生を適用していること等「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると思われる点を、「労働者性」を肯定する判断の補強事由とする裁判例があります。
業務委託契約が雇用契約とみなされた場合、労働諸法令によって労働者として保護されることになりますので、業務委託契約の条件が労働基準法等の法律が定める基準を下回る場合には、その差額を補償する必要があります。
具体的には下記のような補償が予想されます。
- 未払い残業代の支払い
- 有給休暇の付与
- 最低賃金を下回る賃金差額の支払い
- 社会保険・労働保険へ遡って加入することに伴う保険料の支払い
- その他、同様の業務に従事する他の従業員との均衡待遇の補償
自分の働き方に疑問が生じたときは、一度、首都圏青年ユニオン連合会にご相談ください。